天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました!2
 ミリエラは、あの時お帰りくださいと言ったのだし、引かなかったのは彼女の方。

 父がどう手を打ったのかは知らないが、小さなことは追求しない方がいい。そうに決まっている。

 大通りを走り抜けた馬車は、王宮の門から中へと入った。

(……あれ)

 いつもは正門から入るのに、今日は裏手の門からだ。裏手と言っても、使用人達の使う門ではなさそうだ。金色に輝く重厚な門が、目の前にそびえていたから。

 ちらりと窓の外に目をやれば、国王や王妃達がこちらに向かって歩いて来るところだった。

「──ジェラルド、久しぶりだな」
「お招きありがとうございます、陛下」

 父が頭を下げるのに習い、ミリエラも丁寧に一礼する。

(……今日は、私的なお招きってことなのかな)

 そう判断したのは、父とミリエラは正装に身を包んでいるが、国王夫妻は正装ではなく、いくぶん気楽な服装だったからだ。

 いくぶん気楽とはいえここは王宮。ふたりが身に着けている宝石が少なめだったり王妃のドレスはレースが少なめという感じなだけ。最高品質のものを身につけているのはかわりがない。

< 205 / 279 >

この作品をシェア

pagetop