天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました!2
 それは、ディートハルトとライナスも同じであった。ディートハルトもライナスも、客人に合うのに適した服ではあるが、動きやすさも重視した格好だ。

 挨拶が終わるなり、ライナスはミリエラに不機嫌そうな声をかけてきた。

「……なんだ、お前も来たのか」
「お前って……」

 思わずミリエラも半眼で相手を見返す。挨拶よりも先に、お前も来たのかとはなんという言い方か。

 ミリエラが邪魔者なのだろうか。いや、ライナスからしたら邪魔者なのは間違いないが。

 困ったとつぶやいたディートハルトは、ポンとライナスの背中に手を置いた。

「ライナス、ミリエラ嬢に挨拶をしなさい」

 領地にいる時には、カークともミリエラとも対等に関わっているから、ディートハルトの兄としての顔を見る機会はそう多くない。

 グローヴァー領に来る前も、こうやってライナスと関わっていたのだろう。ライナスが、ディートハルトのことを大好きなのも当然だ。

「やだ」

 父はともかく、ミリエラにまで挨拶するのはよほどいやらしい。腕を組み、ぷんとむくれて横を向く。

「ライナス!」

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