天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました!2
 けれど、低いながらも断固とした声でディートハルトに諭され、ライナスは渋々口を開く。

「ミリエラ・グローヴァー嬢、来てくれて……ええと、来てくれて……感謝、する。歓迎するぞ」

 暗記したのが丸わかりな見事なまでの棒読みである。

 ライナスにしては、精一杯歓迎しているのだということも理解したから、ミリエラはスカートを摘まんで頭を下げた。

「ディートハルト殿下、ララ、ライナ、ライナシュ殿下、お、お招きいただき、感謝いたします──」

 ディートハルトの名を噛まないことに一生懸命になり過ぎたのか、ライナスの名を噛んだ。動揺して、言葉の後半は、みっともなく震えた。

(……こんなつもりじゃなかったのに!)

 頭の中では、ちゃんと言えているのだ。身体が未発達でついてこないだけ──と言いたいが、本当のところはどうなのかミリエラにもわからない。

「僕の名前はライナスだ!」
「はい、ライナシュ殿下」

 焦れば焦るほど噛んでしまう。これは以前、ディートハルトの名前でも経験済みである。

「お前な!」
「ミリエラ嬢、僕も来てくれて感謝する。さあ、ライナス、行こうか」

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