天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました!2
 ライナスがミリエラに突っかかろうとするのを、ディートハルトは見事なまでの微笑みで瞬殺した。ミリエラの方にごめん、と軽く頭を下げておいて、ライナスの手を引く。

(……うん、やっぱりわかってやっているわね)

 ディートハルトは、ミリエラならライナスを優先しても怒らないとわかっていてやっている。彼のその信頼がまぶしいほどだ。

「ライナス殿下、エリアスとお会いになりますか」

 今度は噛まずに言えた。よかった。

 ミリエラの精霊眼と精霊王との契約については一応極秘ということになっているのだが、王族は例外だ。ライナスは以前屋敷でエリアスと顔を合わせたことがある。

「会う! 呼べ!」
「エリアス──、フィアン、来て」

 エリアスだけ呼ぶつもりだったけれど、思い付きでフィアンも呼ぶ。

 ミリエラの声に応じるようにして、真っ白な巨大な白猫と、真っ赤な羽根を持つ巨大な鳥が姿を見せた。

「う、わぁ……! 綺麗な鳥!」

 ミリエラは憎き敵であっても、ミリエラが呼び出す精霊王は別である。ライナスはエリアスに駆け寄りかけ、それから初めて見るフィアンにぽかんと口を開けて見とれた。

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