天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました!2
 一歩踏み込んだカークは、上段から大きく振り下ろす。その剣を受け止めたディートハルトは思いきりよろめいた。

 剣を取り落としそうになったところで、慌てた様子で握り直す。追撃することなくカークが待っていたのは、相手が王子だからではなく今は訓練中だからだ。

「ディーから来るか?」
「負けない!」

 ディートハルトの方の打ち込みを、カークはやすやすと受け止める。カークの方が、有利なように見えた。

(カークの方が強いんだ、今は)

 記録機にふたりの様子を撮りながら、ミリエラは思った。

 大柄な分、カークの方が有利。それは仕方ない。

 ディートハルトは王族としての勉強の他に、錬金術を学び、剣術はたしなみ程度にやればいい。

 だが、カークは、ミリエラの護衛騎士になると言っている。そのため、ディートハルトより剣の訓練に費やす時間は長いのだ。カークの方が、上達が早くても当然だ。

(私の護衛騎士になってくれるってカークが言うのは嬉しいんだけど……本当にそれでいいのかな)

 それは、一生この屋敷で働くということでもある。

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