天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました!2
 なんでも隣国では、ユニコーンの乙女という仕事が存在するらしい。

 ユニコーンは乙女とならば心を通じ合わせることができるため、ユニコーンの世話をして抜けた尾や鬣(たてがみ)を集めるという仕事があるのだとか。

(ユニコーンが実際にいるって方にびっくりだけど)

 そのユニコーンの毛をブラシに使うだなんて、贅沢以外のなにものでもないわけではあるが──王家の財力を思い知らされたような気がした。

「ユニコーンの角が欲しい時はどうするの?」
「隣国では、角は取らないんだって。尾や鬣なら生えてくるけど、角はそういうわけにもいかないみたい。ただ、仲良くなるとユニコーンが角をくれることがあるって言ってた」
「角も生え変わるからな。ユニコーンがそれを与えると言うのは、相手を信頼しているということだ」

 ディートハルトにブラシをかけてもらいながら、うっとりと目を閉じていたエリアスが口を開く。ユニコーンの角は、数十年に一度、根元から生え変わるそうだ。

 人間にとって貴重なものであることを知っているから、相手によってはその角をプレゼントすることがあるのだという。それもまたミリエラは知らなかった。

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