天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました!2
 とはいえ、エリアスがいればライナスのミリエラに対する態度がかなり軟化するのも否定はできない。喉を鳴らしているのはエリアスの演技だったとしても、ありがたいのには変わりがない。

 エリアスにライナスが夢中になっているのと見て取ると、ディートハルトはポケットに手をやった。

「フィアンには、これを用意した」
「ほほほ、そなたは気がきくのう。どれ、爪を削るとしよう」

 ディートハルトがフィアンに差し出したのは、金と魔石を加工して作ったやすりであった。

 素材が魔石なので、キラキラとしている。値段のことについては考えない方が、よさそうだ。

(……あのやすりの素材、この間パパが作ってたやつ!)

 王都の作業部屋で何をしているかと思ったら、王家からの依頼だったのか。

「こうやって、爪を削るのは気持ちがいいのだよ。前回ディートハルトと会った時にそう言ったのだが、覚えていたようだな」
「……へぇ」

 領地にもフィアン用の爪やすりはあるけれど、魔石ではなかった。やはり、キラキラしているものが好きなのだろうか。

「──ごめんね」

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