天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました!2
 大人達の様子を遠目に見ていたら、むすっとした顔のライナスが迎えに来た。

「ミリエラ嬢、お茶の準備ができた。こちらに、どうぞ」

 あいかわらずの棒読みで、喧嘩をふっかけたいのをこらえているのも伝わってくる。

(この子も、無理をしているんだろうな──)

 本来なら、まだ両親や兄に甘えたい年頃だ。

 最終的に決断したのはディートハルトであるけれど、大人達の思惑で引き離されることになってしまった。

 その元凶である──とライナスは思っている──ミリエラに、これだけ礼儀正しく振舞おうとしているのだから、彼は彼なりに努力している。

 この国は、子供に多くを望み過ぎなのだ──屋敷に押しかけて来たラント嬢のことをうっかり思い出してしまい、ちょっとげんなりとした顔になった。

 あの人も、ミリエラに父の説得を期待していた。

 子供に、なにを期待していると言うのだ。もし、ミリエラがただの子供だったとしたら、きっと彼女の勢いに飲まれていたに違いない。

「ミリエラ嬢、お菓子もあるぞ」
「ありがとうございます、ライナス殿下」

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