天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました!2
「ライナス、こういう時は客人に先に渡すんだよ。君は、その次」

 お兄ちゃんしているなぁ……とミリエラが微笑ましい気持ちで見守っているのに気付いているのかいないのか。ディートハルトはせっせとライナスの世話を焼いている。

(その目については、今日のところは見なかったことにしておこう)

 こちらに向かってライナスが、勝ち誇った目をしているのには気づいていないふりをする。

 武士の情けである。ミリエラは武士じゃないし、この世界に武士は存在しないけれど。

「ライナス殿下、エリアスとフィアンもお菓子が好きなんですよ」
「……お前に言われなくても知ってる!」
「ライナス!」

 大人達の思惑はわかるけれど、かなり無理が生じるのではないだろうか。少なくとも、ライナスの方はミリエラに歩み寄る気皆無である。

(……まあ、仕方ないね)

 ライナスはテーブルから降りると、山盛りにしたクッキーとケーキをフィアンの方に差し出した。それから、次に、同じようにした皿をエリアスの方に差し出す。

「ほほ、気の利くよい子供である。妾から、ご褒美をあげよう」

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