天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました!2
 それに、ミリエラは中身が大人なので、ライナスほど無邪気には振る舞えないと思っている。ディートハルトやカークと一緒にいる時に、ふたりに引っ張られて子供らしい気持ちになることもあるが、たぶん、それは限りなく子供に近い、で終わってしまうだろう。

「それでは、我もなにかやらねばなるまいな」

 くるりと周囲を見たエリアスは、花瓶に生けられていた花を器用に一本引き抜いた。なんの花かはわからないけれど、とても可愛らしい。

「──むぅ」

 一息唸ったエリアスは、その花を空中に放り投げる。ミリエラの目には、その花の中に翼の生えた猫達が吸い込まれていくのが見えた。

 カチンと硬くなった花は、他の精霊猫の手によって丁寧にライナスの手の中に落とされる。

「風の精霊石と火の精霊石だなんて──エリアス、フィアン、これは、貴重過ぎると思うんだ」
「やだ、返さない」

 ディートハルトは慌ててライナスの手から取り上げようとするけれど、エリアスもフィアンも気にした様子は見せない。

「よいよい、子供のおもちゃだ。そんなに言うならそなたにもやろう」
「そうだな、ミリエラを大切にしてくれるからな」
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