天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました!2
「そう、お揃いだ。この腕輪も、錬金術がないと作ることができないんだよ」

 魔石を加工した素材のはめ込まれた銀の腕輪。ディートハルトの腕にもライナスの腕にもぴったりとはめられている。

「兄上も、これ、作れる?」
「うーん、まだ難しいかな」

 弟に尊敬のキラキラとしたまなざしで見られるのは悪くはないけれど、ディートハルトにこれを作るのはまだ無理だ。いつかきっと、これよりすごい魔道具を作ってやろうと思うけれど。

「じゃあ、兄上! 僕も、勉強する。兄上と一緒がいい」
「そうだね、いつかそうなったらいいと思うなぁ」

 口にしたのは、ささやかな願い。弟と一緒に過ごす時間がもっとあったら──。

 けれど、それ以上は語らない。無理だということをちゃんと理解しているから。

「ほら、そろそろ寝ないと──お休み」

 明日には、グローヴァー領に戻ることになる。ライナスと離れるのはさみしいけれど、ディートハルトの居場所はここにはない。少なくとも、今はまだ。

 眠そうに目をこすっているライナスの背中を、ポンポンと叩く。

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