天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました！２

　どうやら、誰もミリエラ達の到着にも、気づいていないらしい。いや、気づいているけれどこちらにはそれだけの労力を割けないという雰囲気だろうか。

　ちらりとこちらに目をやる人はいても、会釈をし、小走りに立ち去ってしまう。絶対、なにか問題が起きたに決まっている。

「侯爵様、俺が話を聞いてきます」
「頼んだ」

　ライナスには申し訳ないけれど、ディートハルトを置いていくわけにもいかないのだ。

　オーランドが、王宮の騎士に話を聞きに行くといったん持ち場を離れる。

「……パパ、なんか変じゃない？」
「そうだね。」

　顎に手を当てて、難しい表情になった父は考え込んでいる。ミリエラもじっと父の顔を見上げた。

　唇を引き結んだ父の視線は、王宮の騎士達に話しかけているオーランドの姿を追っている。

　父と同じようにオーランドの方を見ると、ミリエラも顔見知りであるディートハルトの護衛から離れてこちらに戻ってくるところだった。

「侯爵様、すぐに説明の者が来てくれるそうです」

　その言葉が終わるか否かのうちに、慌てた様子でこちらに向かってきたのは、国王の侍従であった。

「なにがあったのだ？」