天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました!2
「渡したよ。何度か通信は試みてるんだけど、答えてくれないんだ」
「……そう」

 腕輪にマナを流し込めない状況に置かれているということなのだろうか。

 最初にその可能性は排除したけれど、誘拐されて、拘束されているとか。

 昨年ミリエラが拉致されて以来、王宮の警備は厳重になっているけれど、警備をすり抜けることは不可能ではないと思う。

(エリアスとフィアンに探してもらえばどうにかできそうな気もするけれど……)

 エリアスもフィアンも、一度ライナスとは顔を合わせている。彼の痕跡を追ってくれと頼めば、追えなくはないだろう。

 眷属達の力も借りれば、国中くまなく探すことだってできるはず。そうしようかと思った時だった。

「──あっ!」

 今日、馬車に積み込んできたもののことを思い出した。とりあえず腕輪だけ先に渡したのだが、今日は特別な地図を持ってきたのだ。

「ディー、こっち来て!」

 ミリエラは、自分達が乗って来た馬車の方に全力疾走した。トテトテ走るミリエラの後ろから、ディートハルトとカークが追いかけてくる。

「どうした、ミリィ!」
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