天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました!2
 いろいろな人から贈り物だったり、領地の屋敷にいる使用人へのお土産だったり──ディートハルトは律義なので、屋敷にいる使用人へのお土産も忘れないのだ。

「なんとなく、あのあたりにいる気がするんだけど」
「……そうかも。誰か、馬車の中は見た?」

 ディートハルトが問いかけると、ライナスを探していた人達は、一斉に首を横に振った。王子の荷物というのは、想定の範囲外だったようだ。

「じゃあ、僕が開けてみる」
「いけません。殿下。誘拐犯がいたら危険です──包囲しろ」

 騎士のうちひとりが他の騎士達に指示を出す。

 子供達は、馬車から離れるように誘導された。地図を手早く丸めたディートハルトは、カークともどもミリエラをかばうかのようにすぐ側に立つ。

(……でもさ、なんとなく、なんだけど)

 周囲の緊張感とは裏腹に、ミリエラは落ち着いてくるのを覚えた。たぶん、誘拐犯なんて存在しないのだろう──だって、それならとっくの昔に王宮から脱出しているはず。

 それなのに、まだ、王宮にとどまっているということは、可能性はひとつ。

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