天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました!2
「マナを流すと、こういう風に見えるから──ほら、こうやって縮尺を変えると、グローヴァー領が見えるでしょ。こっちの地図の光っているところが、ディートハルト殿下とライナス殿下のいるところ」

 地図に魔石を埋め込んだのはこのためである。うわあーーと、ライナスの目が丸くなった。こんなものを作れるとは思っていなかったのだろう。

「本当は、顏が見られるようにしたかったんだけど」

 出来ないわけではなさそうなのだが、今回は素材が手に入らなかった。いつか、素材を入手することができたら試してみたいと思う。
 地図は二枚。縮尺が最大の時には王宮をさし、縮尺を小さくしていくに従い、王国全体が表示されるもの。もう一枚は、グローヴァー領を中心としたものだ。
 王都を中心としたものはディートハルトが持ち、グローヴァー領を中心としたものはライナスが持つ。

「地図を見たら、お互いどこにいるかわかるでしょ? それなら、ちょっとは寂しくないと思うの」
「べ、別に寂しくなんか──」

 ぷいとライナスは横を向く。ミリエラに言われたのが、そんなに照れ臭かったか。ディートハルトが、そんな弟の手を取った。

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