天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました！２

「やったあ、腹減った！」

　真っ先にカークはそちらに走っていき、彼の後を追ってディートハルトとミリエラはゆっくりと歩き始めた。

「その記録板、今度借りてもいいかな」
「皆で見た後、複製作ってあげる。パパが複製用の記録板作ってくれているから」

　記録板に記録されている映像は、別の記録板に複製を作ることができる。複製があれば、ディートハルトは自分の好きな時に見ることができるというわけだ。

「ディーもうちに住めばいいのに」
「そんなわけにはいかないよ。僕は、他にも勉強しないといけないことがあるからね」
「……そうだねぇ」　

　少しばかり、ミリエラの声が沈む。

　ディートハルトがこの国の王子でありながらも、グローヴァー領で暮らしているのは、複雑な事情がある。

　彼の母は早くに亡くなり、今の王妃は、継母である。

　彼女は、ディートハルトの弟王子を産んだのだが、ディートハルトではなく、弟王子を王太子にしようという動きをしている者達も多い。