天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました!2
 ニコラには休んでもらっている間、かわりに子供達の相手をすることになったメイドが、冷たいジュースをそれぞれのグラスに注いでくれる。

「本人はそう言ってるけど、どうかなぁ」
「だって、ディーは毎日お話してるんでしょ?」
「うん。でもライナスがそうしたいと言っても、ここまでライナスひとりで来るわけにもいかないし」

 ある程度、年齢を重ねていれば、療養や視察のために、成人前に王都を離れて旅をする例は過去にもあったらしい。

 だが、それは十歳を過ぎてからが基本。王族としての政務に携わるようになってからだ。

 療養や視察のためではなく、グローヴァー領に永住するためだったディートハルトとは事情が違う。

 毎晩のお喋りで、ライナスは夏の終わりをこの地で過ごしたいと言っていたけれど、彼ひとりで決めるわけにはいかない。

(……そうねぇ。殿下ひとりっていうのはまだ無理だろうし)

 いくらライナスが希望したところで、彼ひとりでここを訪れるのは無理だろう。

「それなら、ライがここに来た時のために、なにか考える? ほら、次に王都に行く時に持って行ってもいいし」

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