天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました！２

　どうしようかと考えながら空を見上げた時、遠くからバンッとなにかが破裂するような音が聞こえてきた。たぶん、父の仕事場だろう。時々、錬成している最中に大きな音が出ることがある。

　けれど、その音は、ミリエラになにかを連想させた。

「──そうだ、花火！」

　この世界の花火は、色がついていない。

　たしか、前世では金属の化学反応を使って色を変えている──と情報番組で見たような気がするけれど、こちらの世界では、飛び散る炎の色だけだ。

　昼間に、歓迎の意を込めて打ち上げるのならばそれでもいいだろうけれど、夜の花火はそれだけでは少し寂しい。

「花火がどうかしたのか？」

　カークが首を傾げる。たしかに、彼には今ひとつ想像できないだろう。

「うん、綺麗な色がついたら素敵じゃないかと思うの」

　難しいのではないかと思いながらミリエラは口にした。もし、簡単に色をつけることができるのなら、もっと早く誰かやっていただろうし。

　とはいえ、ミリエラには他の人にはない強みがある──前世の知識と錬金術の才能だ。

「綺麗な色かぁ……それは、夜に打ち上げるってことだよね？」