天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました!2
 元々グローヴァー領で暮らすことになったのは、ディートハルトがマナを持たないと思われていたからであるが、その事情が解消したあとでも王宮に戻らないのは、宮中に余計な争いの火種を作りたくないから。

(錬金術の勉強がしたいっていうのも嘘ではないんだろうけど)

 先日、ディートハルトは王位継承権はいらないと宣言したけれど──それだけではすまないのが世の習いである。

 錬金術師になるからという理由で、王族として学ぶべきことを放置してもいいわけではない。

 そんな理由から、この屋敷を訪れていない日のディートハルトは、朝から晩まで勉強しているのだ。まだ、彼だってまだ七歳──もうすぐ八歳という幼さなのに。

「早く早く! ふたりの分まで食べちゃうぞ!」

 もうケーキを食べてしまったらしい。口の周りをクリームだらけにしたカークが手を振る。

「ああもう、カークはお行儀が悪いな! 三人揃っていただきますしなくちゃ! 行こ、ディー!」

 慌ててミリエラは、ディートハルトの手を引っ張って走り始めた。

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