天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました!2
「仕事部屋に行くぞ!」

 先頭を切ってミリエラが走り出し、カークが後を追う。

 ディートハルトは少しあとから走り始めたけれど、あっという間にミリエラを追い越してしまった。

「待ってよ、ディー!」
「僕が先!」

 ディートハルトは、意外に大人げない。

 いや、子供だからこれで正解。子供時代は、とても貴重なのだ。

 先頭に立ったディートハルトが扉を開き、三人は転がるようにして中に飛び込んだ。

「……ミリエラ」

 中でなにか実験していたらしい父は、手を止めてこちらをじっと見る。

(……やらかした!)

 勢い余って、ついここまで来てしまった。扉をノックすることもせず、バーンと勢いよく開いたのもよくなかっただろう。

「ごめんなさい、パパ」
「先生、扉を開いたのは僕だから、ミリィを怒らないで」
「ごめんなさい、侯爵様」

 三人並んで、しゅんとしてしまう。

(私がふたりを止めなきゃいけなかったのに)

 真っ先に走り出してしまうとはどうかしていた。横並びになって、うなだれている三人の様子がおかしかったらしい。

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