天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました!2
 父が、くすりと笑う気配がした。それから父は、扉の方に指先を向ける。

「では、三人とも。外に出て扉をノックするところからやり直し。できるかな」
「はい!」

 この屋敷の主は父だから、ディートハルトが王子であっても、父の言うことには従わなければならない。特に、ここには王子としてではなく、弟子として来ているのだから。

 扉をノックするところからやり直し、許可を得てから、三人揃って中に入る。

「それで、ここに来た理由は?」
「ええと、侯爵。ミリィが──じゃなかった、ミリエラ嬢が、ライナスを歓迎するのに花火を作ったらどうかと言ってくれたんです」

 代表して話の口火を切ったのは、ディートハルトだった。

 一番年上ということ、歓迎されるべき対象が弟のライナスだからということが彼にそうさせたのだろう。

「どういうことかな」
「あのね、パパ。花火って、色がないでしょう。それに、ミリィ達が上げたいなって思っても、打ち上げられないし」
「──火薬を使っているから、専門家に任せる方がいいね」

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