天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました!2
 ポンポンと軽快な音が続く中、打ち上げられた花火は、空気中に王家の紋章や、チューリップ、ハートや星型などを描き出す。

 さらさらと降る光の雨に、ライナスは目を丸くしていた。

「うわあ、すごい! 綺麗! 母上、王宮でもできる?」
「作ってくれるよう、侯爵にお願いしてみましょうか」

 実のところ、魔石を使うので一発あたり、普通の花火の百倍ほどの費用が必要となる。

 庶民がそうそう簡単に手の出せる値段にはできなかったのだが、既存の花火とはまったく違う原理のため、仕方のないところだろう。

 既存の花火屋の仕事を奪いたいわけでもないので、これで満足しておく。

「兄上。兄上は、いっぱい勉強してる?」
「しているよ。ものすごく、たくさん」

 ディートハルトの言葉に、ライナスは得心したようにうなずいた。

「僕も、勉強する。また、会いに来てくれる?」
「もちろん! 侯爵が王宮に行く時に連れて行ってくれるだろうからね」
「ディートハルト殿下」

 王妃がディートハルトを引き寄せる。その様子を見たミリエラは、ひとり安堵の息をついたのだった。

(ライも、もう大丈夫かな)

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