天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました!2
エピローグ
ライナスと王妃の訪問が、グローヴァー領では夏の終わりの大イベントであった。少しだけ、風が涼しくなり始めたような気がする。
(……パパ、喜んでくれるかなぁ……)
夏の間、せっせと練習したおかげで、編み物の腕はずいぶん上達した。最初に編んだのは父への贈り物のマフラー。
まだマフラーを巻くには少し、いやだいぶ暑いけれど、最初に父に渡さないとニコラへの贈り物に取りかかれない気がする。
父から贈られた革の鞄にマフラーを隠し、それを肩からかけてパタパタと父の仕事場に向かう。
父の前にはオーランドがいて、なにか報告しているところだった。彼の側には、カークもいる。オーランドの仕事を間近で見学しているのは、今から勉強しているのだろうか。
「パパ、今いいですか」
オーランドの話が終わるのを待って声をかけると、父はこちら側に甘い笑みを向けた。
「オーランドとの話は終わったから構わないよ。どうかしたのか?」
「パパと、お話をしたいです」
「それなら、少し散歩しようか。歩きながら、話せるかな?」
「うん!」