天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました!2
「そうそう、ミリィ、パパにこれをあげたかったの──かがんで」
「このくらい?」
「もっと」

 目の高さがミリエラと同じくらいになるまで、父は身体をかがめてくれる。ごそごそと鞄の中からマフラーを引っ張り出したミリエラは、それを父の首に巻き付けた。

 父の目の色と同じ青い色のマフラー。端には、赤い刺繍糸を使って、父の名前が刺繍してある。

「……似合う!」
「これは?」
「ニコラに教わって、ミリィが編んだ!」

 サプライズ成功。目の前にある父の目が、みるみる大きく丸くなる。せっかくだからちゃんと使ってもらいたいので、贅沢に最高級の毛糸を使ってある。

「……ありがとう。とても、上手に編めているね」

 ふっと顔をそらした父は、目のあたりを押さえるようにした。

(泣かせるつもりは、なかったんだけど……)

 どうやら、感極まっているらしい。そこまで感激してくれるとは思わなかった。

「次にニコラのひざ掛けを編んでね、そしたら次はミリィのを編むの。パパとお揃い──オーランドとカークにも編まないと不公平かなぁ?」
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