天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました!2
 この国の王子であるディートハルトは、事情があって王宮ではなく、普段はグローヴァー領にある王家の屋敷で暮らしている。ミリエラにとっては、大切な親友であった。

 今日、彼も王宮に戻っているので、王宮を訪問したついでに彼とも話をしておこうと思ったのである。

 父に手を引かれ、多数いる人々の間を縫うようにしてディートハルトのいる方角へと向かう。

「失礼」
「……あっ」

 すれ違った人の手がぶつかり、父とミリエラの手が離れてしまう。

 はっと立ち止まった父だったけれど、すぐに間にたくさんの人が割り込んできて、ミリエラとの距離が空いてしまった。父が囲まれるまで、一瞬のことであった。

「──やれやれ。しかたないわね」

 前世が成人女性だったからか、時々年齢には合わない口調になってしまう。それは、今もそうだった。こちらに戻ってこようとする父に、大丈夫だと手で合図を送った。

(それにしても、パパ、囲まれ過ぎじゃない?)

 ここは王宮の庭だし、さほど危険はないはずだ。一応話が終わるまでは待とうと思うが、父とミリエラの間に入り込む、あの女性達は許さない。

「ミリィ、これ食べる?」

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