天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました!2
「そうそう。新たな素材の使い方を見つけ出すのも、錬金術師の仕事でしょう」

 もぐもぐと食べながら喋っている間に、ミリエラの皿からはラズベリーパイが綺麗に片付いていた。もうひとつパイをもらおうかと、バスケットに手を伸ばそうとした時。

「なんだよ、ふたりとも!」

 今の今までもぐもぐとミートパイを咀(そ)嚼(しゃく)していたはずのカークが急に立ち上がった。

 彼の大声に、バスケットに手を伸ばしかけたミリエラはそのまま固まってしまうし、ディートハルトの手元からは、ポロリとパイが転げ落ちる。

「俺にわからない話ばっかり!」
「あ、ごめんなさい……」

 たしかに錬金術の話は、カークにはわからない。

 ディートハルトとミリエラが錬金術の勉強をしている時は、オーランドに剣の稽古をつけてもらうか、ニコラの手伝いをしているかだからだ。

「ごめん、カーク。僕とミリィだけで話してちゃ面白くなかったよね」

 慌ててディートハルトも謝るけれど、カークはむっとした顔をしたままだった。

「いっつも、いっつもそうじゃないか! 俺は、錬金術わからないのに!」
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