天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました!2
 今日は、野菜サラダ、温かいスープ、豚肉に香草をたっぷりまぶして焼いたものと付け合わせが順に運ばれてくる。いつもならその日あったことを両親にせっせと伝えるカークが、今日は無口だ。

 料理を食べたくないというわけでもないらしく、サラダもスープも綺麗に食べた。いつもなら豚肉が運ばれてくると歓声をあげるのに今日は静かだったのがいつもとは違うくらい。

 カークはぶすっとしているし、ミリエラもカークと喧嘩中とは言いにくい。

 どうやってカークに話しかけようかもじもじと迷っている間に、夕食は終わってしまった。

「俺、もう自分の部屋に行く」

 いつもは食事が終わった後、居間に移ってのんびりする。

 睡眠を妨げないよう、コーヒーや紅茶ではなく、ハーブティーが運ばれてきて、時には果物や軽い焼き菓子をつまむこともある。

 大人達が話をしている中、ミリエラとカークはふたりでボードゲームをしたり一緒に本を読んだりする。

 けれど、今日のカークは、食後のお楽しみには目もくれず、自分の部屋へと戻ってしまった。

「……あの子、どうしたのかしら」

ニコラは、悩んだ様子で頬に手を当てた。

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