天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました！２

「ごめんね、ニコラ。ミリィ、カーク怒らせちゃったの」

　ミリエラはこわごわと口を開く。

　カークそっちのけで、ディートハルトと盛り上がってしまったことを告げると、ポンと頭に父の手が乗せられた。

「そういう時もある。でも、カークには明日もう一度謝ろうか」
「はい、パパ」

　カークが許してくれるかどうかわからないが、今日のところはミリエラとディートハルトが悪い。明日、もう一度謝ろうと決めた。

　カークがいないからか、居間は妙に静かなように思えた。

（うぅ、居心地悪い……）

　大人達は静かに話をしている。その側で、大きなスケッチブックを広げ、お姫様の絵を描きながらミリエラは皆の様子を観察していた。

　父は、ニコラの様子を気遣い、ニコラはお腹に手を当てていた。お腹に手を当てて微笑むニコラに向けているオーランドの表情にも、愛しさが溢れている。

（私のせいで、ふたりは子供を作れなかったんだもんね……）

　いつも相手をしてくれるカークがいないからか、今日は妙にオーランドとニコラの様子が気になった。