天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました!2
 ミリエラの手を引き、居間を出て、二階にあるミリエラの部屋まで行く間、父は繋いだ手を離そうとはしなかった。

「……ごめんね、パパ。カークと喧嘩するつもりはなかったの」

 今日、夕食時の空気が悪かったのも。居間にカークがいなくて、寂しくなってしまったのも。

 カークと喧嘩したミリエラが悪い。しかも、その原因を作ったのがミリエラなのだ。

「大丈夫、カークも許してくれるよ」
「許してくれると、いいな」

 思えば、カークと喧嘩をするのは初めてだったかもしれない。彼は、いつだって年下のミリエラを気にかけてくれた。

 もっと幼かった頃は取っ組み合いの喧嘩をしたこともあるらしいけれど、覚えていないので数える必要はない。

 自室に入ったところで、父はミリエラの頬にキスをしてくれる。

 入浴が終わって、寝る時にもう一度おやすみのキスをしに来てくれるのは、もう毎日のことだ。

 父の愛を一心に受けていられるのは嬉しい。ミリエラにとって、父がどれほど大切な存在なのか、彼は知っているだろうか。

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