天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました！２

　メイドに手伝ってもらって入浴をし、寝間着に着替え、父にキスしてもらって横になっても、今日は眠気がやってくることはなかった。

　この上の階には、カークの部屋がある。カークはもう寝てしまっただろうか。それとも、ミリエラみたいに考え込んでいるだろうか。

「──よし」

　暗闇の中、ミリエラはえいと起き上がった。こうしていても眠れないのだから、仕方ない。カークのところに行くことにしよう。

　暗闇の中、そっとミリエラはベッドを抜け出した。ひとりで暗い廊下を歩くのはなんだか怖くて、お守り代わりに枕を抱える。

　魔道具のランプがほんのりと照らす廊下は、毛足の長い絨毯が敷かれているので、歩いても足音はしない。

　スリッパをはいたミリエラは、そっと階段を上り、カークの部屋の前に到着した。

　部屋の扉を開く。静かに中に入ると、カークは眠っているらしく、足元のランプだけが小さく光っていた。

「……なんだよ」

　眠っていると思ったのに、ミリエラが入って来たのに気が付いたようだ。ベッドに身を起こした彼は、目をこすりながらもミリエラを見た。