天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました!2
 足元のランプしか光がないから、今、彼がどんな顔をしているのかまではわからない。

「……あのね、カーク。ミリィ、謝りに来た」

 そう言うと、はっとカークは息をついて目を丸くした。眠気が一気に飛んでしまったらしい。

 ミリエラが謝りに来るとは、思っていなかったのだろうか。

「だから、ええと……その、ごめん……ね?」

 いくら謝っても、許してもらえないかもしれないという恐怖が、ミリエラの言葉をとぎれとぎれにさせる。

「俺も、ごめん。もう、怒ってない」
「よかった」

 枕を抱えたままのミリエラは、安堵の笑みを漏らした。カークがもう怒っていないというのなら、それでいい。

「ねえ、カーク」
「なんだ?」
「ミリィ、今日寂しかったの。一緒に寝よう」

 そう言うと、カークが起き上がって、ベッドがわずかにきしんだ。床に下りたカークは、ミリエラの手を引いてベッドに座らせる。

「じゃあ、ミリィが壁側な。寝相悪いから落ちるだろ」
「ミリィ寝相悪くないもん!」

 思わずそう返してから、ふたり顔を見合わせてくすくすと笑った。

 これで、仲直りできた。

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