天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました!2
 さらに、魔石やその他の部位で活用できる部分は、買取となる。

 退治した魔物の数によっては数か月遊んで暮らせるほどの収入になることもあるそうで、裕福な生活を夢見て冒険者になる者も多いらしいというのは最近知った話だ。

 父に連れられて王都に向かう際、魔物に遭遇したことがなかったのは、王家とグローヴァー領を結ぶ街道は、王家の騎士によって厳重に守られているからだ。道理で、王都への往復に平気でミリエラやカークを同行させるわけである。

「僕もそろそろ野営を経験しておいた方がいいって、ヴィルギルが言うんだ」

 王家の男子たるもの、身体も鍛えねばならぬというわけで、魔物討伐も積極的に行うようにと言うのが国王の教育方針だそうだ。

 護衛の騎士が同行しているから、ディートハルトの身に危険が及ぶ可能性はほとんどないけれど、それはそれ、これはこれである。

「いいなあ、いいなあ!」

 カークは羨ましそうにしている。再びトマトソースにパンを浸してから、大きな口を開けて押し込んだ。

「うまっ!」
「……カーク、お行儀が悪いわよ」

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