天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました!2
 ニコラにたしなめられて、カークは恥ずかしそうに笑った。食欲旺盛なのも、母と子の仲がいいのもいいことだ。

「ニコラは、体調はどう? もし、具合が悪いなら、侍医に見てもらうようにするけれど」
「いえいえ、ディートハルト殿下。その必要はありません。私はいたって健康です……もしもの時には、お願いすることになるかもしれませんが」

 ディートハルトの屋敷には、王都からディートハルトのためについてきた医師が常駐している。

 もっとも、ディートハルトは健康な子供で風邪すらほとんどひかないし、怪我といえば稽古の打ち身くらいのもの。

 医師は暇を持て余しているというわけで、自身の勉強時間の他は、近隣の医師のところに出かけて手伝いをしているらしい。

 たしかに、王子の侍医ならば、腕の方は保証されるはずだ。王子の侍医が、妊婦のかかる病気について、詳しい知識を持っているかどうかは別として。

「そうか。それなら、いいんだ。僕も赤ちゃんを見るのが、すごく楽しみ」

 弟が生まれた時は、まだ小さかったから記憶がない──とディートハルトはにこにことしている。王都のことを懐かしく思うことはないらしい。

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