天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました!2
 なんだかちょっとイラっとしたが、ミリエラの中身は大人。ここは、カークに合わせてやろうではないか。

「食べる!」

 まずは、ディートハルトの差し出している皿からプチタルトを取ってパクリ。さくさくとしたタルト生地にジャムの甘さがちょうどいい。

「カークのも!」

 イチゴジャムの乗ったクッキーは、続けて二枚を口内に放り込む。

 こちらもクッキー生地の塩気と甘酸っぱいイチゴジャムがいいバランスだ。さすが王宮で出される菓子だけのことはある。

「ニコラにもお土産にできればよかったのにねぇ」
「まーな、でも、侯爵様が帰る前に菓子屋に連れてってくれるって言ってた。母上には、お土産を買って帰るよ」

 ミリエラの乳母(うば)であるニコラが今回同行していないのは、お腹にカークの妹か弟がいるからだ。

「僕も、なにか用意しておくよ。ニコラにはいつも世話になっているしね」

 と、すかさずディートハルトが申し出る。

 グローヴァー侯爵領で暮らしているディートハルトは、錬金術を学んでいる父の弟子でもある。ミリエラが父の一番弟子だから、ディートハルトは弟弟子というわけだ。

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