天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました!2
(そう言えば、前世では、レースのコースターを見たことあるな)

 中心からぐるぐると編んでいくモチーフ編みのレース。前世ではいろいろなところで見かけた。

 さほど大きくないし、慣れた人ならさほど時間をかからずに編み上げることができるだろう。 モチーフを繋げば、花瓶の下に敷く敷物や、テーブルクロスなどのもっと大物に変化させることもできるし。いずれは大作にも挑んでみたい。

 とはいえ、編み物だけに時間を費やすわけにはいかない。貴族の娘として学ぶべきことはしっかり学ばないといけないし、錬金術の修業もある。

 合間にはマナを循環させてマナの量を多くする訓練もしないといけないし、六歳児のわりにミリエラはなかなか多忙なのである。

(……でも、皆の喜ぶ顔が見たいもんね)

 ニコラにはマフラーを編むと言ったけれど、もしかしたらひざ掛けの方がいいかも──と妄想は膨らむが、現実的にはまだまだ難しそうだ。

 唇が尖ってしまっているのも構わず、ミリエラは編み針を動かす。ニコラの手が止まっているのには、まったく気づいていなかった。

 

 ◇ ◇ ◇

 

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