天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました!2
 領地で待っているニコラへの土産にも気を配るあたり、さすが王子。心配りが素晴らしい。

「うん。ミリィもなにか探そうっと」

 男の子ふたりが用意するのは食べ物だろうから、ミリエラは違うものを探そう。

 王都で流行りのドレスがいいだろうか。でも、お腹が大きいと着られない。

 可愛らしい帽子とか、パラソルもいいかもしれない。日差しの強いところにいると、くらくらしてしまうかもしれないから。

 もうすぐ夏だし、帽子かパラソル──それがいいかも。無意識のうちにディートハルトの皿からもうひとつタルトを取り上げた時のことだった。

「──まあ、あなたがミリエラ嬢?」

 声をかけられ、ミリエラはくるりと振り返る。

「本当に、可愛らしいのね!」

 そこに立って感嘆の声をあげていたのは、二十代前半と思われる女性だった。

(……たしかに、美人だけれど)

 ミリエラと向かい合っている彼女の方に、ちらちらと男性の目が行っているのを意識する。

 というか、ミリエラしか目に入っていない段階で、この女性は近寄らない方がいい──と結論付ける。

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