天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました！２

　手元に引き寄せた返信不要の手紙を細かくちぎって捨てる準備をしていたミリエラは首を捻って父の顔を見上げる。

　父がこんな風に焦るのは、今まで見たことがなかった。

「パパ、どうしたの？」
「ディートハルト殿下の誕生日がもうすぐだっただろう」
「うん。うちで誕生会をするって決めたじゃない」

　昨年は王宮で誕生祝いをしたディートハルトだったけれど、今年はグローヴァー領で過ごすことにした。

　というわけで、ミリエラはディートハルトの誕生会をこの屋敷で開いてはどうかと提案したのだ。ディートハルトの希望もあり、招待客は厳選した。

　父とミリエラ、それにカーク。ニコラやオーランドといった侯爵家で暮らしている人達に、ディートハルトの側仕えや騎士達。

　ミリエラの誕生日、そうしたように侯爵家の庭園を開放してガーデンパーティーを開く予定だ。

　侯爵家なら様々な魔道具を利用することができるので、招待客は少数でも、にぎやかになること請け合いだ。