天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました!2
 完全に自分のことは棚に上げているミリエラであるが、ミリエラ本人は二十代の女性として生きていた頃の記憶があるから、自分のことを普通の六歳児だと考えてはいけないとも思っている。

 けれど、ディートハルトは違う。彼は、前世の記憶なんて持っていない普通の男の子。

 その彼が、そこまで考えなければならない立場であるというのは同情するし、そこまで考える彼には尊敬の念も持っていると言っても過言ではない。

 それはさておき、ディートハルトの誕生日がなにか問題だったのだろうか。

「──パパ? ディーの誕生日、どうかしたの?」

 ミリエラが自分の考えに沈み込んでいる間に、父もすっかり考え込んでしまっていたようだ。ふぅとため息をついた父は、ミリエラの方に今までじっと見つめていた手紙を差し出した。

「……え?」

 それを見たミリエラも硬直してしまった。そこには、ディートハルトの誕生日に合わせ、国王夫妻に弟王子のライナスまでこの地を訪れると書かれていたのだ。

「ど、どうしよう、パパ! 王様達はどこに泊まるの?」
「我が家の別館を使っていただくか……ディートハルト殿下のお屋敷か」
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