天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました!2
「でもディーのおうちは大きくないよ!」

 何度か遊びに行ったことがあるが、ディートハルトの暮らしている屋敷は、王族が暮らすにしては質素なものだ。

 屋敷の住民は、ディートハルト以外全員護衛と使用人ということもあり、部屋の数はさほど多くない。彼が最初にこの地を訪れた時には、客人を招くことも想定していなかった。

 いずれはもっと大きな屋敷に移る必要が出てくるかもしれないけれど、今のところは十分間に合っているのである──いや、間に合っていた、だ。

「……そうだな、我が家の別館に泊まっていただこう」
「そうするなら、ディーもそっちに泊まったらいいんじゃないかな」

 別館は、昨年までミリエラが暮らしていた建物だ。ミリエラが本館に移動するにあたり、別館の役割も大きく変化した。

 ミリエラが本館に移ったあとは、別館は客人の宿泊用の建物として整備された。壁紙やカーテンはすべて取り換え、家具も入れ替えた。

 別館に客人を宿泊させるようにしたのは、元の客用寝室が、今はマウアー一家の生活の場となっているからだ。祖父母がこの領地を訪れた時も、別館に滞在してもらっている。

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