天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました！２

　父と国王陛下は、友人とまでは言えないにしても、それなりに親しい関係らしいと聞いているけれど、主従の関係は崩すわけにはいかない。

　それは、父とオーランドやニコラも同じこと。超えてはならない一線を彼らは守っているし、父もそうしなくてはならないのだ。

「ニコラも無理はできないしねぇ」

　なにしろニコラは秋に出産を控えた身である。この家は執事とニコラが中心となって取り仕切っているが、今回ニコラには無理はさせられない。

「心配しなくても大丈夫だ──少し、忙しくなるだけだ」
「ミリィもお手伝いする！」

　ぴしりと手を上げて宣言すれば、父はにこりとした。近頃、こうやって笑みを浮かべることが増えてきた。

（うん、大丈夫。国王夫妻の訪問もちゃんと乗り切ることができる）

　なんとかなるだろうとミリエラは思ったけれど、実際に国王夫妻を迎える準備を始めるとなると、想定以上の大騒ぎであった。

　特に侯爵邸のある町は盛り上がっていた。

　国王夫妻を歓迎するための旗を作り、大量の花を用意する。窓には歓迎の言葉を書いた紙を貼りつけたり、巨大な垂れ幕を作って壁にかけたり。