天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました！２

　菓子職人は国王夫妻の訪問を記念した菓子の開発に忙しく、魔道具師は歓迎の花火を作り始める。

　子供達はわけがわからないなりに浮き立っているらしく、広場には元気な声が響いているというありさまだ。

（国王夫妻の訪問ってこんなに大ごとになるんだ……？）

　結婚前に国王がこの地を訪れた頃はいわゆるお忍びだったそうだ。そのため、領民は国王がこの地を訪れたことがあると知らない人が大半だ。

（……っていうか、普通なら一生に一度の大ごとよね）

　全力で歓迎の準備を整えている領地の人達を見ながら、改めて自分の置かれている立場が特殊であることを自覚する。

　侯爵家に生まれ、しばしば王都に行っているミリエラは、国王夫妻とはもう何度か顔を合わせている。

　けれど、皆がこうして国王夫妻を歓迎する準備をしているというのが、なんだかミリエラの目にはまぶしく映る。

　民が国王夫妻を歓迎しようとしているのは、彼らがよい政(まつりごと)をしているという証でもある。そして、領民達が気のいい人の集まりであるという証拠でもある。

（ディーのことも、受け入れてくれているもんね）