天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました!2
 最初のうちは遠巻きにされていたディートハルトも、今ではすっかりこの領地に馴染んでいる。

 ──たぶん。

 今回国王夫妻がわざわざこの地を訪れると決めたのは、ディートハルトのこの地での暮らしぶりを見たいというのもあるのだろう。

 

 ◇ ◇ ◇



(……またか)

 届いた手紙を手に、ジェラルドはため息をついた。近頃、この手の誘いが増えている。

 アウレリアの喪が明けた直後から、ジェラルドの元には多数の縁談の申し込みが届くようになった。

 屋敷にこもりきりになったまま、錬金術師という仕事からも離れ、社交界からも遠ざかっていたのだから、周囲もそのうち諦めたのだろう。

 しばらくの間申し込みは途絶えていたのだが、流れが変わったのは昨年のこと。

 保冷布の大流行に加え、久しぶりに王宮を訪れた。今まで人の目に触れさせることのなかったミリエラを連れて。

 ──それ以来、グローヴァー侯爵家に届けられる手紙の数は、以前の数十倍、いや、数百倍になろうとしている。

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