天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました!2
 なにしろ、ミリエラが生まれて以来、手紙のやり取りと言えば、取引上、どうしてもジェラルドの署名が必要な書類が送られてくる時とハーレー伯爵夫妻からのものに限られていたのだから。あとは王宮とのやり取りが例外か。

 次の手紙を取り上げ、中身に目を通して顔をしかめる。これは、ミリエラの目に触れないうちに捨ててしまおう。

(──気が早すぎる)

 細かくちぎってから、手紙をくず入れに放り込む。気が早いにもほどがある。

 今の手紙は、縁談の申し込みであった──ただし、ジェラルドではなくミリエラとの縁談、である。なにを考えているのか、ミリエラはまだ六歳だというのに。

 ため息をつきながら、次の手紙にとりかかる。

(親の贔屓(ひいき)目をのぞいても、ミリィの愛らしさは隠しようがないが)

 親の贔屓目どころか、立派な親馬鹿である。五年間、成長を遠くから見守ることしかできなかったのが、今になってこんなにも悔しい。

「今度は、オーランドが鬼よ。ちゃんと追いかけてよね!」
「はい、かしこまりました」
「騎士さん達もよ!」
「はっ!」

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