天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました!2
 窓の外からミリエラの声、続いて侯爵家に仕える騎士達の声が聞こえてくる。ちらりとそちらに目をやれば、鬼ごっこをしながら本館の近くまで来たようだった。

「ははは、騎士どもに我を捕まえることができるのかな?」
「ミリィは、エリアスと一緒に行く!」

 エリアスの背中に乗ったミリエラが、真っ先に駆け出していく。

「ずるいぞミリィ!」
「僕達の訓練も兼ねてるんだから、僕達は自分で逃げようよ!」

 ミリエラの後を追いかけるカークとディートハルト。二十まで大声で数えてから、オーランドがさらに追いかけ始める。

(……昔みたいだ)

 ふと、幼い頃の自分とオーランドの姿が重なった。昔はそこにアウレリアがいて。さらに、ニコラがいた。

『ジェラルド、こもりきりはよくないわ。お散歩に行きましょうよ』

 ハーレー伯爵夫妻に連れられたアウレリアがやってきて、ジェラルドを庭園に引っ張り出す。護衛のオーランドと、侍女のニコラがふたりに付き添う。

 オーランドとニコラの間に、温かな関係が生まれ始めているのにジェラルドが気づいたのは、十五の頃だっただろうか。

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