天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました!2
 こうして準備を進めること十日。ついにその日がやってきた。

「国王陛下、万歳!」
「国王夫妻に祝福を!」

 先頭に立って街に入って来た護衛の騎士。それに立派な馬車が続く。

 昨年ディートハルトが初めてこの地を訪れた時とは大きな違いだ。昨年彼は、逃げるようにひっそりとこの地を訪れ、彼が馬車を降りたのは屋敷に入ってからだったから。

 派手に花火がパンパンと打ち上げられ、音でも国王一家を歓迎している。

(……本当、すごい)

 ミリエラ達は、町の中央にある広場で国王一家の到着を待っていた。ここは、いつもなら軽食を売る屋台が並んでいたり、子供達が遊んだりしている場所だ。

「ジェラルド、元気にしていたか!」

 立派な馬車が広場の中央に停車し、国王夫妻とライナスが降りてくる。王妃のドレスの陰に隠れるようにしているライナスは、たしかミリエラより一歳下である。

(……あまり似てないな)

 最初に顔を見た時にはそう思った。

 ディートハルトとライナスは、兄弟だというのにあまり似ていない。ライナスは王妃そっくりの顔立ちだった。

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