天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました!2
 集まった民衆に手を振り、歓迎に礼の言葉を述べた国王一家は再び馬車に乗り込む。ディートハルトも、彼らと同じ馬車に乗り込んだ。

 父とミリエラは、別の馬車に乗って、一行を屋敷まで先導する。

(……気になると言えば、気になるな)

 ちらりと見ただけだけれど、ライナスのあの表情。

 もしかしたら、彼には近づかない方がいいのかもしれない。そんな予感がする。

 国王一家が到着したのは、ちょうど昼頃であった。

 そして、屋敷で待っていた使用人達が、庭園にテーブルを用意し、料理や飲み物、菓子類を美しく盛り付けていた。

 今日は少し気温が高いが、ここは一流錬金術師の屋敷である。木陰では、枝に隠すように置かれた魔道具がミストを発していて、快適な温度を作り出している。

 木々に張り巡らされた布は、光が当たる度に様々な色に変化していた。魔石から作ったビーズを縫い留めてあって、光を反射するだけでなく、ビーズそのものも発光するのだ。

 これは、ミリエラの発明品ではなく、今は亡き父方の祖父が発明したものだそうだ。さほど高価な品ではないため、庶民の家でもお祝い事の席で使われている。

< 98 / 279 >

この作品をシェア

pagetop