私たちはこの教室から卒業する。
 初めて葵が夢の中で彼と出会ってから、数日がたった日、忘れられなくて、もう一度会いたいからって放課後、誰もいない教室で、再び葵は眠ってみたらしい。

「まさか、また会えるとは思わなかったよね!」

「へぇ、そうなんだ」

 偶然かな? って思ったけれど、それから何回も会えたらしく、そのたびに彼女は報告してきた。

 葵のその夢が、ずっと続いている。
 彼女が、今も彼に会い続けている。

 いつも葵は、笑顔で語っていた。

「夢の中でね、今日も私の事を好きって言ってくれてね、会いたいたって!」

 そう言っていた時の彼女は、可愛くてキラキラしていた。

 きっと葵は、夢の中に現れる彼に、恋をしていた。その想いが僕に向けられたらよいのに。顔も知らない葵の夢の中の彼に、僕は嫉妬していた。

 まるでリアルな恋愛話を聞かされる気持ちになってきて、だんだんと辛くなってきた。
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