私たちはこの教室から卒業する。
 次の日、いつものように、放課後、葵は教室で眠っていた。起きた時、ガッカリしていていつもと様子が違った。

「今日ね、あの人、会いに来てくれなかったの」
「へぇ、なんでだろうね」

 何も知らないって感じの返事をしたけれど、心の中で僕はガッツポーズをした。

 やっぱり思った通りだった。
 家にシロクマを置いてきた。
 ふたりを引き離すことに成功したのかもしれない。

 でも、葵が夢を見なくなったって事は、シロクマはやっぱり葵の夢に出てきていた彼って事? 彼はこれからどうなってしまうのか、気になった。



 卒業式まであと一ヶ月。
 


 
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