カモフラ婚～CEOは溺愛したくてたまらない～

episode １

ウエディングプランナー。

それは幼いころからの私の夢だった。

従兄の結婚式に参列したとき、私はまだ小学校四年生だったが、幸せそうな従兄夫婦と、それを支えるプランナーの人達を目の当たりにして思った。

人生最高の笑顔を残せるような結婚式を作る人になりたい、と。

自分の夢を母に語ると、『それはウエディングプランナーという職業よ』と教えてくれた。

それからというもの、大きな目標を得た私は、様々な知識を身に着けていった。

あれから十数年。

２７歳となった私、菱崎由華（ひしざきゆか）は、自分の憧れたプランナーに少しは近づけただろうかと、たまに考える時がある。

小ぢんまりとしているが、設備はしっかりとしている式場に就職。

収容人数もせいぜい５００人程度の披露宴会場であるため、大掛かりな設備などはないが、アットホームを望む新郎新婦の理想の空間を演出することはできる。

夢のような大披露宴は経験ないものの、リーズナブルな料金のわりにはバえると、SNSなどで軽くバズり有名となりつつあるところだ。

今は式場の大小は関係なく、とにかく映えるか映えないか、可愛いか可愛くないか、綺麗か綺麗じゃないか、これが大きく評価される時代だ。

このまま着実に業績を伸ばしていけば数年後、キャッスルウエディングができるように、これまた小ぢんまりとしたお城をモチーフにした建物を建設するといった話も出ている。

確実な話ではないので本当に建設できるかはわからないのが現段階だが。

いまだに自分のいる場所と目指す場所のギャップに悪戦苦闘しながらも、今日も私はここにいる。