マーガレット
高校生らしき店員が私の肩をたたいた。
「あと10分で閉店です。」
さっきまでたくさんの人が行きかっていた信号は
まばらに人が渡るだけになっていた。
iPhoneの画面には21:50の数字を映している。
私は冷め切ったコーヒーを飲み干すと店を出た。
ぽつっと何か冷たいものがあたった。
雨だ。
予報よりも2時間も早い。
最近の天気予報は当たらない。
花冷えとともに春雨がしとしと注がれる。
雨まで気まぐれかよ、なんて思いながら
さっき渡れなかった信号を何事もなかったかのように
渡っていく。
雨なんて大っ嫌い。
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